この活用ガイドは、以下のいずれかに当てはまる方向けの記事です。
MAを使う上で念頭に置くべき3つの活用目的
目的1. 商談数を増やす
見込み顧客リストの大半が、「今すぐ顧客にはならない」「何万件もあるリストからフォローできるのは極わずか」…といった理由から放置されていませんか?
新規の問い合わせやイベントで獲得したリード(新規見込み顧客)の案件化率は約13%と言われています。(※1)
「問い合わせ対応などで手一杯で、新規開拓営業のリソースがないんです」というケースもありますが、1年後、2年後の案件創出のためには一定の新規商談数を担保する必要があります。
MAを使ってアプローチすることにより、放置されているリードから、営業工数を掛けず効率的に商談を生み出すことができます。
目的2. 良質な案件を営業にパスする
上記にあてはまる場合、案件の確度を高めて営業にパスする必要があります。MAを使って事前に見込み顧客の検討度合いを把握することで、営業を効率化できます。
ちなみに、従来のMAツールでは、「スコアリング機能」を使って営業にパスするリストを抽出します。
スコアリングとは、「メルマガを開封したら5点」「部長以上なら10点」「Webサイトで料金表を見たら20点」などとスコア加算条件を決め、100点になったら営業にパスする手法です。
BtoBの場合は、その検討プロセスにおいて、複数のキーマンが存在したり、他の施策の関係で予算が浮いたりと、点数では測れない部分で検討が進むことが多いため、スコアリングという手法はかけた工数に対して効果が出にくいようです。
ゆえに、List Finderではスコアリングはおすすめしていません。
シンプルに、「比較表」や「導入事例」などのキラーコンテンツを閲覧している顕在顧客(今すぐ顧客)を可視化し、営業に即日パスするだけで、アポイント率・案件化率を高められるでしょう。
目的3. 潜在顧客を中長期的にフォローする
顕在顧客(今すぐ顧客)へのアプローチができてくると、案件数は増加します。しかしあくまでも顕在顧客なので、いずれは案件が枯渇します。中長期で案件を創出するためには、潜在顧客(いつかは顧客)をフォローする活動も必要です。
これらは、「リードナーチャリング、顧客育成」と呼ばれたりします。
Webで問い合わせした見込み顧客に営業したところ、直近ではいらないと言われたのでその後フォローしていない、ということはありませんか?いつの間にかWeb上で比較検討され、コンペにも呼ばれず失注することもあるかもしれません。
購買検討プロセスのデジタル化により、BtoB企業顧客の67%は営業と会う前に購買意思決定を固めているというデータがあります。(※2)Web上に検討するための情報があることと検討タイミングを知ることは、もはや必須と言っていいでしょう。
せっかく展示会・Webサイトなどの莫大な費用を掛けて獲得した潜在顧客です。デスクの中から名刺を引っ張り出し、中長期的にフォローしましょう。
(※2 出典元:https://www.accenture.com/jp-ja/insights/communications-media/how-to-proceed-btob-marketing)
MA活用における意外な落とし穴にはまらないようにするには?
1. MA活用戦略を練る
「とりあえず稟議を通して、運用や戦略はあとから決める」
戦略を抜きにして、「競合が入れたから」「流行っているから」という理由で導入してうまくいった例は、そうありません。
自分の会社で、事業で、製品で、どういうマーケティングをするか、という戦略を策定することが最も重要です。「そのマーケティング戦略を実現できること」を要件に、具体的な機能や製品、社内体制を検討しましょう。
2. ゴールを明確にする
導入の前に「いつまでに、どのレベルの有望見込み顧客を何件創出し、そこから何件の案件を創出するのか」という目標と、その実現のためのプロセス設計を行いましょう。
「まずはメール配信を月1回できるようになりたい」といって導入される方もいらっしゃいますが、結局、数年後もメール配信しかできないままであることも多いです。「安いメール配信ツールでよくない?」と社内で糾弾されないよう、明確なゴールと時間軸を決めておきましょう。
3. 自動化崇拝をやめる
多くのMAツールは、リード(新規見込み顧客)が膨大にある(そして個人情報を購入可能な)米国で生まれたこともあり、スコアリングやステップメール、シナリオ設計が必須です。しかしながら、それらの機能は日本のBtoBでは不要です。理由は、BtoCとは異なり顧客の態度変容は発生しにくいため。
この記事を読んでいる方で、ステップメールがきっかけで何らかのサービスや製品を自社へ導入する意欲が高まったことのある方はいらっしゃいますか?「個人的にはいいと思うけど、今は状況が…」ということはありませんか?
お気づきの通り、BtoBでは、見込み顧客の検討タイミングは以下の要素で変わります。
・組織が変わった(決裁者が変わった、担当者が変わった、組織ができた)
・戦略が変わった
・予算ができた
つまり、大方のMAツールのように、数ヶ月掛けてシナリオ設計し、やっとの思いで運用し、結果を元にシナリオを再設計する、などしなくても大丈夫。
シンプルなMAツールでメール配信し「”今、検討している”人がわかる」ことで十分営業にHOTリード(※3)をパスすることができます。成果としては大差ないのです。
※3 HOTリード:今アプローチすべき見込み顧客
4. マーケティング施策に”偏り”がないか考える
MAツールをご利用される方の傾向として、集客(リード獲得)or掘り起こし(リード育成)のどちらか片方に偏った施策を講じている企業様が数多くいらっしゃいます。
結局、前述のリードの流れにあるように、法人営業のプロセスは入り口(リード獲得)~出口(育成)まで一貫した流れとなります。施策が偏っていると、社内でツールの費用対効果や成果を判断する際に「効果を実感できない」と言われかねません。
■リード獲得に偏っているケース:
・慢性的な広告投資コストの増大
・競合性が高く、検討タイムが伸びている昨今において消耗戦
■リード育成に偏っているケース:
・Hotリードの定義や育成する活動自体の改善ヒントが得られない
※ある程度の新規集客がなされた上で育成対象となるリードの母数を増やす必要あり
※少ないハウスリストでは、抽出できるアプローチ対象のリスト数が担保できない
5. 成果を出すために最低限の準備をする
以下の3つは、初回キックオフの前にご準備されると良いでしょう。
・戦略担当、運用担当、営業担当が決まっていること
・定期的に配信できるメールコンテンツと、キラーコンテンツ(Webサイト)があること
・保有リードがあること+リード獲得施策を行っていること
【キラーコンテンツとは?】
お客様が情報収集する際に知りたい情報のこと。また、営業時に刺さるコンテンツのこと。
・製品(サービス)ページ
・導入事例
・料金ページ
・よくある質問 など
1ページしかないWebサイトや、見込み顧客のための検討材料がWebサイトにない場合は、お客様の検討度合いを可視化しにくいです。
導入済のお客様に、「検討時にどのような情報がWebサイトにあったらよかったか」をヒアリングすると良いでしょう。